スカトロ小説

9話 彼女はどこまでも堕ちていく(完)

エクソダスゴールド

 

 

 純香さんは1週間以上迷ったが、自分で結論を出すことはできなかった。

 

「堀内くん、どうしたらいいの? 知らない人に排泄を見せるなんて絶対にいや……」

 

「でも、お金がないんでしょう? それともまっとうに就職しますか? だけど純香さん、あなたは職場でいつうんこを漏らすかわからない不安に耐えられますか?」

 

「あぅ……」

 

「普通に仕事をしているOLがうんこを漏らせばどんな目で見られるか、純香さんは知っていますよね。仲のよかった同期からもどん引きされて、哀れまれて、裏では笑い者にされているんですよ。そんなこと、耐えられます?」

 

「いやっ……」

 

「スカトロの世界なら、大丈夫ですよ。だれもうんこを漏らす純香さんを見て引いたりしません。むしろ、それが望まれているんです。あなたが安心して生きられるのは、スカトロの世界だけです。そこは純香さんを受け入れてくれる唯一の場所なんです」

 

 俺の演説に聞き入っている純香さんの目から、しだいに自我が消えていくようだった。

 

「わ、わたし……」

 

「純香さん。スカトロクラブで働きましょう?」

 

「……はい」

 

 うなずいた彼女の瞳に光はない。

 

 可哀想な純香さん。

 

 彼女はいつの間にか、自分で決断する力を失っている。

 

 口元に浮かぶ虚ろな微笑みを見て、まるで操り人形のようだと俺は思った。

 

 

 

 純香さんの初舞台の日は、想像していたよりもずっと早くやってきた。

 

「さあ、今夜のステージでデビューする新人に登場してもらいましょう。純香ちゃーん!」

 

 名前を呼ばれた純香さんが、落ち着かない足取りで舞台袖から現れた。

 

 その服装を見て胸が弾む。

 

 パステルグリーンのブラウスと、白いフレアスカート。そう、「事件」の日と同じ服だ。

 

 マイクを渡された純香さんが、緊張気味に話し始める。

 

「初めまして。わたしは純香です。25歳、元OLです。
 突然ですが、3ヶ月前のことを話します。ある日、朝からおなかの調子が悪かったわたしは、会社の後輩の男性とエレベーターに閉じ込められてしましました。復旧には何時間もかかってしまいました。おなかの調子は悪くなるばかりで……。それで、わたしは、う、う、うんこを漏らしてしまいました」

 

 会場から、興奮に満ちたどよめきが起こった。

 

 純香さんは真っ赤になって、マイクを持っていない左手でスカートをきつく握りしめている。

 

「だけどわたし、あれからいろいろあって、人に見られながら、っ、うんこするのが好きになってしまいました。だから……わたしがうんこを漏らすところを、見てくださいっ」

 

 恥じらいながらの告白に、会場から拍手が沸き起こる。

 

 宣言を終えた純香さんは自分の手で下着を下ろし、パンプスを履いた足から抜き取った。その色も、あのときと同じ薄ピンクだ。

 

 後ろを向いてスカートをたくし上げ、観客に尻を見せる。その美しさに、何人かが感嘆のため息をついた。

 

 スカートをベルトに挟みこんだ純香さんは、自らの手で浣腸を行った。ぎこちない手つきが、よりいっそうの興奮を誘う。

 

 しばらくして、彼女は悶え始めた。

 

「ああっ……」

 

 尻をさらした美女が、苦痛と恥辱に頬を染める。

 

 おなかに手をやり、体をくねらせて便意に耐える姿は、イヤらしくも妖艶だった。

 

「もう、ダメッ……! 漏れちゃうぅ!」

 

 純香さんが悲痛な涙声で訴える。するとアシスタントがさっと駆け寄り、彼女の足下にペットシーツを広げた。

 

 苦痛に歪む淫らな顔は、観客からも見えるようにテレビの大画面に映されている。

 

 眉間にしわを寄せ、唇を噛んで耐える純香さん。けなげな姿が哀れみを誘い、同時にこれ以上ないほどの欲望をかき立てた。

 

「ん、くぅぅぅ!」

 

 絶頂を迎えたかのような甘い悲鳴。

 

 そして肛門が決壊し、ほとんど汁のような軟便がほとばしる。

 

 わあっ、と会場が沸いた。

 

 人の声の間を縫って、汚い放屁音が耳に届く。

 

 ぶぴっ ぶぶぶ……

 

 純香さんの便はペットシーツに収まりきるほどおしとやかではない。緩急をつけて吹き出す便が、みるみるうちにはみ出してきて床を汚した。

 

 ぷんと鼻を突く悪臭。今日も純香さんの便は強烈ににおい、観客の中にもハンカチで鼻を押さえている人がいる。

 

「ああ、あああっ」

 

 髪を振り乱した純香さんが、腹の中身を最後まで絞り出した。

 

 役目を終えて閉じきった肛門からは、ぽたぽたと名残の便が垂れる。

 

「はぁ、はぁ……」

 

 いつの間にか静かになっていた会場に、純香さんの荒い息づかいが響いた。

 

「はい、純香ちゃんのステージ処女脱糞でした! 本当に酷いニオイですね。床にもかなりこぼれてしまいました。さて、このペットシーツをお買い上げになったお客様はこれから純香ちゃんと遊んでいただけます。脱糞女・純香ちゃんのお漏らしペットシーツ、1万円から!」

 

 司会がオークションの開始を宣言すると、驚くほどの勢いで値段がつり上がっていく。

 

 10万円はすぐに超えた。さらに11万、12万と値上がりし、20万円を過ぎたところで競り合いとなった。

 

「決まりました! 21万8000円! 脱糞ショー史上最高額での落札となります!」

 

 純香さんの便を落札したのは、でっぷり太った成金風の中年男だった。

 

 今から純香さんは、この男に好き放題スカトロプレイをされるのだ。

 

 汚される。清純で美しかった純香さんが、もっともっと汚されていく。

 

 しかし、どうしてか俺の股間は大きく膨らんでいた。愛した女性が風俗に堕ちて、心が痛んでもおかしくないはずなのに。

 

 純香さんが舞台袖に帰って行く。うつむきがちに歩く彼女と、一瞬視線が交わった。

 

 泣いては、いなかった。

 

「ああ、純香さん……」

 

 彼女はついに、人前でうんこを漏らしても泣かない女になったのだ。

 

 トラウマが克服できてよかったではないか。たとえ世間からは決して認められないとしても。

 

 美人OLだった純香さんは、今やただの水商売の女だ。それも、スカトロなどいう最底辺の。

 

 彼女は昼の世界に生きる女たちから見下され、変態以外には相手にもされないことだろう。

 

 純香さんを選ぶまともな男は俺だけだ。

 

 かつての純香さんと俺なら、絶対に釣り合っていなかった。しかし、今なら手が届く。汚れきって誰からも見放された純香さんなら。

 

 かつてあこがれたあの人は、きっと俺だけのものになる。

 

 まるで初めからそれを目的としていたみたいに、俺は会心の笑みを浮かべた。

 

 

 

  完

 

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※動画はイメージです。小説の登場人物とは一切関係ありません。