スカトロ小説

7話 外でお漏らし

レズスカ

 

 

 完全に吹っ切れた純香さんは、スカトロ行為を嫌がらなくなった。

 

「今度、外で排泄してみませんか?」

 

 俺がダメ元でそう誘ってみたときも、彼女は驚くほどあっさりうなずいた。

 

「いいわね。やってみましょう」

 

「え!?」

 

「勘違いしないでね。わたしはトラウマを克服したいだけ。そのためならなんだってやるわ」

 

 あくまでもトラウマ治療が目的だと、自分に言い聞かせるかのように話す純香さん。

 

 そのトラウマなら、先日克服できたのではないか。そんな指摘をするのはデリカシーがなさすぎるだろう。

 

「そうですね。トラウマ治療、がんばりましょう」

 

 俺は彼女の本音に気づかないふりをする。

 

 

 

 今日の舞台はラブホテルではなく、ついでにいうと夜でもない。

 

 明るいうちの方が、野外脱糞にはふさわしい。

 

 純香さんはネイビーのブラウスに白いタイトスカートをはいている。そこから伸びるすらっとした生足が目にまぶしい。

 

 どこで脱糞するかを相談するため、俺たちはひとまず近くのカフェに入った。

 

 俺はカウンターで受け取ったふたり分の飲み物を、席まで運ぶ。

 

「アイスコーヒーです。どうぞ」

 

 俺はカフェオレを、純香さんはコーヒーをブラックで飲む。

 

「苦くありませんか?」

 

「あら、コーヒーは苦みがおいしいのよ」

 

 俺は苦い物が嫌いだから、コーヒーの良さはわからない。

 

 ほどほどのところで、本題を切り出した。

 

「うんこする場所ですけど、それなりに人通りがないと意味ないですよね。隠れられる障害物は必要で、できれば土の地面がいいですね」

 

「近い場所はいやよ。知り合いに会う心配がないくらい遠くじゃないと」

 

「わかりました。とりあえず電車に乗って、良さそうな場所を探しましょうか。公園とかなら、どこにでもあるでしょう」

 

 俺たちはカフェを出て、駅に向かった。

 

「いっそ隣の県まで行ってしまいましょうか。その方が気が楽ですよね」

 

「そうね。なんだか日帰りの旅行みたい」

 

 純香さんは目的も忘れて楽しげに笑う。

 

 俺たちはタイミングよくやってきた特急に乗りこんだ。日曜日ということもあって、車内は満員に近い状態だ。座るのは諦め、吊革をつかんだ。

 

 ドアが閉まり、電車が動き出す。

 

「そういえば、トイレは大丈夫でしたか?」

 

 車内にトイレがないことに気づき、俺は尋ねた。

 

「大丈夫よ。これから出しに行くんだから、今はひかえないと」

 

「そうですよね」

 

 それから俺たちはとりとめのない話をして時間を潰した。

 

 純香さんの体に異変が起きたのは、4つめの駅を出発した直後だった。

 

 ぎゅうううぅぅ……

 

「うっ」

 

 腹の虫がのたうち回っているような低音の響き。それとともに、純香さんの顔色が青ざめる。

 

「どうしました?」

 

「お、お腹が……」

 

 彼女は腹に手をやり、苦しそうな前屈みの姿勢になった。

 

「大丈夫ですか? 次の駅で降りましょう」

 

 だが、電車は駅を出たばかりだ。しかも特急だから、すぐに止まるわけではない。

 

「どうして……急に便意が……」

 

 純香さんの顔はみるみる色をなくし、額に脂汗が浮かんでくる。便意をこらえるために噛みしめている唇を、今にも食い破ってしまいそうだ。

 

「もしかして、トイレのない密室にいることで、無意識に緊張してしまったんじゃないですか。きっと純香さんは、そういうことに過敏になっていますから」

 

 俺はもっともらしいことを言った。

 

 本当の原因は、さっきのカフェで飲んだブラックコーヒーにあると知りながら。

 

 あのコーヒーは、俺がカウンターで受け取って、席にいる純香さんのところまで運んだものだ。

 

 実はその間に、こっそり下剤を入れさせてもらった。

 

 苦い薬の味は、苦いコーヒーにまぎれてわからなかったのだろう。純香さんは疑いもせずに下剤入りのコーヒーを飲み干した。

 

「うう……くっ……」

 

 純香さんは人の密集した車内で苦心しながらバッグを開け、薬の箱を取り出した。

 

「下痢止めですか」

 

「そうよ。あれ以来いつも持っているの。ごめんね、予定していた『練習』はできなくなりそうだけど」

 

 彼女は水なしで飲めるタイプの錠剤を口の中に放り込んだ。

 

 だが、俺は慌てない。下剤と下痢止めを同時に飲めば下剤が勝つという話を知っていたからだ。

 

 青い顔をする純香さんの隣で、俺は「そのとき」を待った。

 

 ごぎゅううぅぅ

 

 彼女の腹は、とうてい美人とは思えない濁音を発する。

 

 周囲の客もそれに気づいて、ちらちらと純香さんを盗み見た。

 

「どうしてっ。治まらない……!」

 

 純香さんはしきりに重心を変え、ときどき足をクロスさせて排便をこらえている。

 

「あの、この電車あと20分くらい止まらないみたいです」

 

 俺が告げると、純香さんの表情がはっきりわかるほど凍り付いた。

 

「む、り……」

 

 苦痛に喘ぎながら、引きつった声を絞り出す。

 

 彼女の命運はすでに決したも同然だ。

 

「純香さん、薬を追加で飲んでください!」

 

 無駄だと知りながら言うと、彼女ははっとしてバッグを探った。

 

 その隙に、俺はそっと彼女から離れる。満員電車の人混みにまぎれれば、簡単に見つかることはないだろう。

 

 薬を飲み終えた純香さんが顔を上げ、俺がいなくなっていることに気づいた。

 

「堀内くん? ……堀内くん!」

 

 泣きそうな声で俺を呼んでいる。

 

 だが、出て行くつもりはない。これは彼女に課された試練なのだ。

 

『トラウマを克服するためなら何でもする』

 

 純香さんは、確かにそう言った。ならば俺は、彼女の治療に最大限貢献するまでだ。

 

「ダ、ダメよ……。こんなところでっ!」

 

 ぶりっ

 

「ああああっ!」

 

 ぶりむりぶりゅりゅぶ――

 

 ぷんと漂ってくる悪臭。

 

 人々が逃げるように移動し、満員だった車内に不自然な空間ができる。その中心には、純香さんがいた。

 

 白いタイトスカートのお尻の部分に、茶色い染みが浮き上がっている。

 

「いやァァァ! 止まってェェ――!!」

 

 ぶぴぶぴぶぴぴぃぃ

 

 肛門から発せられる滑稽な音が、純香さんの悲鳴と重なった。

 

 下剤の効果は抜群だったらしく、下痢の勢いが止まらない。この様子では、肛門をいくら閉めようとしても無駄だろう。

 

「あああ……ああっ!」

 

 漏れ出る便は、ついにパンツを突破した。

 

 純香さんのぴったり閉じられた脚にそって、茶色い液が流れ落ちる。太もも、膝の裏、そして、ふくらはぎから足首へと。

 

 垂れた下痢便はパンプスを汚しながら、彼女の足下に水たまりを作っていく。

 

 人ごみの中から、うわぁ、と声が上がった。

 

「うう、うううあっ」

 

 純香さんは手すりにすがってむせび泣く。

 

 そのとき、どこからかピカッと光が放たれ、直後にシャッター音が鳴り響いた。

 

 誰かが写真を撮ったのだ。

 

「いやっ! やめて! 撮らないで!」

 

 純香さんはより深くうつむいて顔を隠し、撮影者に向かって叫んだ。

 

 しかし、群衆は残酷だった。

 

 別の場所からもフラッシュが光り、純香さんの痴態をメモリーに収める。

 

「いやあああああ!」

 

 漏らしたのが男や器量の悪い女性なら、さげすまれるだけですんだだろう。だが、悲しいことに純香さんはかなりの美人だ。こんなふうに漏らした姿でも、男の興味を引いてしまう。

 

 ピカッ、パシャッと、あちこちから撮影の音がする。

 

 向けられたレンズは、純香さんにとってどれほど恐ろしいものだろう。

 

「くぅぅぅ――!」

 

 ぶぶぶっ

 

 ぶちゅちゅちゅぶぅ

 

 静まりかえった車内に、悲鳴と排便音がこだまする。

 

 純香さんの脚は漏らした大便でべちゃべちゃだ。白いスカートのお尻も、うんこ色が目立って仕方ない。

 

「……電車でうんこ漏らしてる女がいるんだって。……いや、めっちゃ美人。……ほんとだって、マジ臭ぇけど」

 

 話し声のした方を見ると、若い男がスマートフォンを純香さんに向けながら、通話をしている。

 

 気づくと、満員電車にいた人数の半分くらいは、この車両からいなくなっていた。しかし、逆に言うと半分くらいはここに残って、漏らし続ける純香さんに下卑た視線を注いでいる。

 

 電車がカーブすると、純香さんの足下にこんもりとたまっていた下痢便がつぅと床を流れた。

 

 次の駅まであと15分。

 

「こんなはずじゃ、なかっ、た……」

 

 今にも途絶えそうなか細い声が、かろうじて俺の耳に届いた。

 

 汚物と悪臭を乗せた電車は、変わらぬ速度で走っていく……。

 

 

 

 TOPへ
 目次へ
 前の話へ
 次の話へ

 

※動画はイメージです。小説の登場人物とは一切関係ありません。