スカトロ小説

6話 うんこ風呂

私に変態して!

 

 

 翌週も、俺は純香さんを「練習」に誘い出した。純香さんは渋っていたが、俺が半ば強引に説得した。

 

 前と同じラブホテルでふたりきりになる。

 

「今日の目標は、便意を感じながらリラックスすることです。うんこをしたくなると緊張しますよね。それが良くないと思うんです。便意は怖くないと思えるようになりましょう。あ、前回は部屋を汚してしまった反省もあるので、今回はお風呂場でしましょうか」

 

 ラブホテルの風呂はふたり同時に入浴できるほど広い。洗い場にも十分なスペースがある。

 

「いったい、何を……?」

 

 純香さんが不安げな上目使いで俺を見る。

 

「大丈夫です。俺についてくれば、必ずトラウマを克服させてあげますから」

 

 俺は純香さんに、着衣のまま浴槽に入るように言った。

 

 今日の純香さんは、パステルピンクのワンピースに白いボレロを羽織っている。前回の服は捨てるしかなかったので、俺が新たにプレゼントしたのだ。

 

 純香さんは、温かいお湯がはられた浴槽に恐る恐る足を入れた。健気なことに、ワンピースの裾が濡れないように手で持ち上げている。

 

「じゃあ、前回と同じ浣腸をしますね。カメラは気にせず、自然体でいてください。どうせ公開しない動画ですから」

 

「わ、わかったわ」

 

 純香さんは自分からワンピースをめくり上げ、片手で下着をおろした。色は薄いピンクだ。

 

 近くで見るほどに美しい白桃のような尻が、薄いレースの下から現れた。俺はごくりとつばを飲む。

 

「もう少し突き出してもらえますか?」

 

「は、はい……」

 

 純香さんは壁に手を突き、腰を折って尻を突き出した。ちらりと俺をうかがった彼女の頬が、羞恥で赤く染まっている。

 

 俺は用意していた浣腸液を純香さんの肛門に優しく挿入した。

 

「んっ――。あ……」

 

 薬液の注入される感触に、純香さんが小さく声を出す。

 

「終わりました。あとはリラックスしてお風呂につかるだけですよ」

 

「でも、服を着たままよ」

 

「はい、服を着たままです。着替えはありますよね」

 

「あるけど……」

 

 純香さんは困惑の表情で立ち尽くしている。

 

「だったらいいじゃないですか。肩までつかりましょうよ。便意を感じながらリラックスする練習です」

 

「うーん……」

 

「それと、こういうのも用意してみました。純香さんが使っていた香水です。とにかく、リラックスすることですよ」

 

 俺はこっそり購入していた香水を、水面に向かって数回プッシュした。シトラスミントの芳香が、ふわりと広がる。

 

「さあ、腰を落として」

 

「……わかったわ」

 

 結局、慣れた香りにつられるようにして、純香さんはお湯の中に体を沈めた。

 

 着衣のまま風呂に入る、大変シュールな光景だ。しかし、本番はここからだった。

 

「ねえ、おなかが痛くなってきたんだけど、我慢できなくなったらどうすればいいの?」

 

「もちろん、このままですよ?」

 

「えっ!?」

 

 純香さんが驚きと嫌悪で思いっきり顔をしかめた。

 

「わ、わたし出る!」

 

 慌てて立ち上がろうとした純香さんの肩を、すかさず押さえる。

 

「ダメですよ。前回よりも難しいことをしないと練習になりませんから」

 

「うう……」

 

 恨めしそうな目で俺を見ながら、純香さんが浴槽の中に座りなおした。彼女の両手が、自然とお腹に向かう。実はかなりの腹痛を感じ始めているのだろう。

 

「さあ、出てしまうのを待ちましょうか」

 

 唇を噛んで便意に耐える純香さんを見ていると、どうしてか頬が緩んでしまう。

 

 俺は純香さんのトラウマ治療に協力しているだけなのに。興奮が止められない。苦しんでいる純香さんに寄り添わなければならないのに。

 

 俺はどうやら、来るところまで来てしまったようだ。

 

 純香さんが苦痛に耐えかねて身もだえを始めた。そのたびに、小さな波が起きる。

 

 浴槽のへりに腰かけた俺は、片手を水面に付けてその波を感じていた。

 

「堀内くん、お願い。トイレに行かせて……」

 

 純香さんが目をうるませて懇願する。

 

 そのいじらしい表情を見ていると、なおさら意地悪をしたくなる。

 

「ここで漏らせばいいじゃないですか」

 

 俺がそう言うと、純香さんの顔に絶望が浮かんだ。

 

 彼女のために協力しているはずが、いつからかこの行為に喜びを感じている自分がいる。

 

 純香さんの嫌がる姿を見ていると、どこかからむくむくと嗜虐心が湧き上がってくる。

 

「嫌だ……。自分のうんこにつかるなんて……」

 

 純香さんの目には、今にもこぼれ落ちそうな涙がたまっている。

 

 ぷるぷると震えているところを見ると、あと10分も持たないだろう。

 

「我慢したって、出るものは出ますから。浣腸をした以上、出さずには済みませんよ」

 

「そんな、ひどい……」

 

 純香さんが下を向くと、涙の雫が水面に落ちて小さな波紋を作る。

 

「もうダメ……くっ。――あっ、あぁああぁぁっ!」

 

 言葉にならない叫びと同時に、尻のあたりから茶色いものが噴き出した。ほとんど水みたいな下痢便だ。それはワンピースの薄い布を突き抜けて噴出される。純香さんは尻から土煙を吹き出しているみたいに見えた。

 

 漏れ出た便が水に沈んで、浴槽の底にたまっていく。

 

「いやっ! もういやぁぁ!」

 

 純香さんが風呂からあがろうとじたばたした。しかし、俺がしっかりと肩を抑えているせいで、立ち上がることができない。

 

「暴れると、沈んでいるうんこが舞いあがりますよ」

 

 きれいに二層になっていた下痢便とお湯が混じり合っていく。透き通っていたお湯の色は、しだいに濁った薄茶色へと変わっていった。

 

「くっ、ああっ!」

 

 便意の第二波が来たらしく、純香さんの抵抗が止まった。

 

 少し見づらくはなったが、目を凝らすと純香さんの尻から垂れ流される下痢便が見える。

 

 シトラスミントの香りはすっかり打ち消され、浴室は窒息しそうなほどの悪臭で満たされていた。

 

 便に混じって、空気の泡がボコボコと湧く。

 

「あ、おならが出たのもよくわかります」

 

「やめて……。どうしてこんなひどいことするの……」

 

「俺は純香さんに立ち直ってほしいだけなんです。どうか乗り越えてください」

 

 その言葉は、かつては確かに本心だった。だけど今は、欲望が純粋な思いに取って代わっている。

 

「や……いやよ!」

 

 なおも逃れようとする純香さん。その抵抗は思いのほか激しく、俺はついつい片手に力を入れる。

 

 そして、あっというまにそれは起こった。

 

「きゃ……」

 

 純香さんが浴槽に沈んだ大便に足を滑らせ、バランスを崩した。

 

 大きな水音とともに、薄褐色の水飛沫が上がる。

 

「わ、純香さん」

 

 ぶくぶくと湧いた泡は、水面下に潜った純香さんの口から吐き出されたものだ。

 

 ついに彼女は頭まですっぽり汚れてしまった。

 

 水面に取り残されたかのように浮かぶ長髪が、悲しげに揺れる。

 

「あの……」

 

 純香さんはなかなか起き上がらない。汚水の中で、死んでしまったみたいにじっとしている。

 

 しばらく待っていると、彼女はようやくゆっくりと身を起こした。

 

 下痢便混じりの水に濡れた純香さんは、ぐったりと力なくうなだれた。汚れた顔を拭おうともしない。

 

「……もう上がりますか?」

 

 俺は恐る恐る尋ねた。

 

 だが、純香さんは反応しない。

 

 まさか壊してしまったのかと心配になった頃、不意に純香さんが笑いだした。

 

「ふふ……あははっ」

 

「え、純香さん……?」

 

「あーっはっはっは!」

 

 気でも触れたみたいに、純香さんは笑い続けた。目からはぼろぼろと涙をこぼしながら、口元はおかしそうに歪んでいる。

 

「あの、大丈夫ですか?」

 

 落ち着いてきたタイミングを見計らって、声をかける。

 

「私、もういいわ」

 

「はい?」

 

「だって、うんこまみれよ。お風呂でうんこを漏らして、汚いったらないわ」

 

 いびつな笑みを浮かべたまま、純香さんが濁ったお湯を両手ですくう。

 

「いったいどうしてしまったんですか?」

 

 困惑する俺に、純香さんは自虐的な笑みを見せた。

 

「堀内くんの言った通りになったのよ」

 

「……というと?」

 

「私はもう吹っ切れた」

 

「あの件についてですか?」

 

「そうよ。漏らしたことをいつまでも悔やんでいても仕方ないでしょ。そろそろ前を向かなくちゃ。――ああ、うんこ風呂気持ちいぃ」

 

 ついに堕ちたのか。

 

 純香さんは広い浴槽でリラックスしたみたいに足をのばした。

 

 常人からしたら見るだけでおぞましい排泄物の溜まり場にゆったりとつかっている。そこにかつての高潔な女性はいない。

 

 堕ちたシトラスミント。

 

「ふふ……ふふっ」

 

 薄汚れた顔で、ときおり思い出したみたいに失笑する。

 

 人間の精神は限界を超えるとこうなるのかと、感心するような思いだった。すべてがダメになってしまう前に、どこかが折れてストレスを逃がす。

 

 これは確かに卑怯なやり方だったかもしれない。だが、純香さんを救う唯一の方法だった。

 

 純香さんはもう大丈夫だ。

 

 彼女を思う良心が、ほっと胸をなで下ろす。同時に、折れた彼女を好きにできることを、喜んでいる自分もいた。

 

 まだ終わりではない。俺たちならもっと先に行ける。

 

 うんこ風呂でくつろぐ純香さんを見ていると、不思議とそういう気持ちになった。

 

 

 

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※動画はイメージです。小説の登場人物とは一切関係ありません。