スカトロ小説

3話 脱糞ショー

ラブスカ

 

 

 純香先輩が仕事を辞めてから、3ヶ月。

 

 あのあと、ふらふらと立ち上がった先輩は、髪で顔を隠すように深く俯き、脚を引きずりながらあの場を離れた。脱糞したのは純香先輩だと誰もが気づいていたが、フォローの言葉をかけられる人はいなかった。

 

 それが純香先輩を見た最後だ。

 

 

 

 仕事を終え、ふらっと足が向いたのは転職サポートの会社だった。

 

 あの事件があった会社に居心地の悪さを感じ、転職を考えているのだ。

 

 エントランスの自動ドアをくぐると、スーツ姿の女性と目があった。

 

「あ!」

 

 俺もその女性も、相手の顔を見たまま5秒は硬直した。

 

 だって、こんなところで鉢合わせするなどと思うだろうか。

 

 よりにもよって、彼女と。

 

「純香先輩……」

 

 名前を呼ばれて我に返ったみたいに、彼女はさっと顔を伏せ、足早に出口へ向かう。

 

「ちょっと、待ってください!」

 

 俺は後ろから先輩の腕をつかんで引き留めた。

 

 彼女は足を止めるが、振り向かない。

 

「放っておいて……」

 

 疲れて乾ききった声で、先輩はボソリと呟いた。

 

 あの事件がどれだけ大きな傷になっているのか、その声で改めて思い知る。

 

「少しお話しませんか?」

 

「何を話すっていうの」

 

「あの、俺も仕事辞めようと思うんです」

 

 俺がそう言うと、純香先輩は遠慮がちに振り向いた。

 

 彼女の髪は飾りのないゴムで束ねられている。化粧だって申し訳程度で、以前のような華がない。

 

 そして、ふと気づく。彼女からシトラスミントの香りがしない。

 

 

 

 喫茶店で注文をする時も、彼女はぼそぼそと話した。明るさと自信がごっそり抜け落ちてしまった彼女に、かける言葉が見つからない。

 

 これでは転職活動もうまくいっていないに違いない。

 

「純香先輩……」

 

「もう先輩じゃない」

 

「じゃあ、純香さん。遠いところに引っ越してみてはどうでしょう? 知り合いがいなければ心機一転できるんじゃないですか?」

 

「それも考えたわ。だけど、そのお金も元気もないの。バカだったんだわ。貯金もせず、高い服や香水ばかり買って……」

 

「そうですか……」

 

 彼女から華がなくなったのには、そういう理由もあったらしい。女性がきれいでいるには、想像以上にお金がかかるのだ。

 

「わたし、もうダメみたい……」

 

 輝いていたころの面影はない。今の純香さんは、まるで枯れかかった花のようだ。

 

「じゃあ、トラウマを克服するしかないのか」

 

 俺がぽつりとつぶやくと、純香さんはキッと目を吊り上げた。

 

「簡単そうに言わないで。どん底まで落ちたのよ。それでも、やっとここまで立ち直った。やっとだったのよ」

 

「あ、あ。もちろん、それはわかってます。ええと、それを踏まえて純香さんに見せたいものがあるんですが、このあと少し付き合っていただけませんか?」

 

「見せたいもの……?」

 

「はい。きっと純香さんのためになると思います」

 

 

 

 実はあのとき、純香先輩の恥辱的な排便を見ながら、俺は勃起していた。好きな人の下着や尻を見たからだけではない。彼女の汚く、不名誉な姿に興奮してしまったのだ。

 

 こんなこと、人に言うどころか自分で意識するのも恥ずかしい。だけど俺はその衝動を抑えきれなくなっていた。

 

 そして、ある店に足を運んだのだ。

 

 俺は何とか純香さんを説得し、目的の店に連れて来た。

 

 ギラギラと光るネオンの看板を掲げ、黒服のお兄さんが立っているようなところだ。

 

「堀内くん、どういうこと!?」

 

 純香さんが険しい声で問い詰める。

 

「大丈夫です。何も危ないことはないので、僕を信じてください」

 

「…………」

 

 疑わしげな顔をしながらも、彼女は黙ってついてきた。

 

 その店は、スカトロ専門の風俗店だ。俺もまだ数回しか来たことがない。

 

 入ってすぐのところで受付をする。

 

「あの、女性同伴でもいいですか?」

 

「はい、大丈夫ですよ。7時からの美女脱糞ショーですか?」

 

「は、はい」

 

「え? だっ……ショー?」

 

 目を丸くしている純香さんの分まで料金を支払い、俺たちは会場に案内された。

 

 客は男性ばかりで、女性の純香さんは嫌でも人目を引いてしまう。俺は店員に声をかけ、顔を隠せる仮面を購入した。

 

「これをかぶってください。席はあっちです」

 

「うん……」

 

 純香さんは呆気にとられ、思考停止してしまったかのように従順だ。こういうところに耐性がなさすぎるのかもしれない。

 

 俺たちが一番前の席に着いてしばらくすると、司会がショーの開始を告げた。

 

 舞台袖から今日の出演者が登場する。20代くらいの、どこにでもいそうな女性だ。ボブカットの髪は落ち着いた茶色で、服はグレーのサマーセーターにベージュのタイトスカート。

 

 彼女の動きはぎこちなく、きっと人前で排便するなど初めてなのだろう。それもそのはずで、このショーの売りは出演者が素人であることだ。

 

 人目を恐れるように肩をすぼめながら、彼女は小さな声で自己紹介をした。

 

「はじめまして。マリカと言います。24歳です。昼は都内で事務職をしていて、夜の世界に来るのはこれが初めてです」

 

 ひゅーひゅーと、誰が口笛を吹いて冷やかす。

 

 マリカはその音にすくみながらも言葉をつづけた。

 

「あの、人前でう……うんちをするのも初めてで、至らないところも多々あるかと思いますが、わたしが……。わたしがうんちするところを見てくださいっ」

 

 ときどきつまりながら話す彼女は、すでに耳まで真っ赤になっている。

 

 彼女は後ろを向いて、タイトスカートの中に手を入れ、下着をおろした。俺の隣で、純香先輩が息をのむ。

 

 マリカは白い下着から足を抜いた。そして、スカートをすとんと床に落とした。白い尻が観客の視線にさらされる。

 

 マリカがしゃがみ込むと、さっと現れたアシスタントが尻の下にペットシーツを引いた。

 

「だ、出しますっ」

 

 彼女は震える声で宣言し、尻に力を込めた。すでに準備が整っていたらしく、きれいに閉まった肛門がみるみる盛り上がってくる。

 

 そして、マリカの尻から、極太のうんこが顔をのぞかせた。

 

「おおおっ」

 

 会場がどよめいた。

 

「んんッ」

 

 マリカはプルプルと震えながらふんばっている。ムリムリと、茶色く太い物体が尻の穴からひり出される。ぷんと臭気が漂ってきた。

 

 マリカの尻からぶら下がった大便は、すでに床にまで達しそうになっている。

 

「うっん」

 

 千切れないように頑張っているのだろうか。マリカはヒクヒクする肛門の力を調節し、最後までうんこを出し切った。

 

 ボトリ、とペットシーツに立派なうんこが落ちた。会場から自然と拍手が沸き起こる。

 

 マリカは尻もふかずに立ち上がると、下半身裸のまま観客の方を向いた。両手は恥ずかしそうに陰部を隠している。

 

「う、うんち、たくさん出ました……」

 

 涙目で言って一礼すると、彼女は逃げるような足取りで舞台袖に引っ込んだ。

 

 入れ替わりに出てきたアシスタントが、排泄物の乗ったペットシーツを持ち上げる。

 

「はぁい、マリカの処女排便でした。彼女、初々しくていいですよね。このあと遊んでみたくなられましたか? もちろんできますよ。こちらのうんちをご購入いただいた方が
マリカの初めてのお客様となります。数に限りがありますので、オークション形式とさせていただきます。素人の初うんち、1万円からです!」

 

 アシスタントが言うと、すぐに手が上がる。2万、3万と、あっという間に値段がつり上がっていく。

 

「あの、堀内くん……」

 

「出ましょうか」

 

 俺は困惑する純香さんを連れて、白熱する会場からそそくさと抜け出した。

 

 

 

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※動画はイメージです。小説の登場人物とは一切関係ありません。