獣姦小説

獣姦する男B

 

 それから何度イレーナを獣姦しただろうか。

 

 男は毎晩のように親子を連れてこさせ、行為に及んだ。

 

 かさぶたが出来ていたイレーナのヴァギナの傷は、その度に引き裂かれて鮮血を流した。

 

 つやつやと輝いていた瞳からは日に日に生気が失われ、やがてどんよりとくすむ沼のような色合いになった。男に犯されているときも、苦痛や恐怖に先立って諦めが浮かぶ。

 

 そうなると、男はおもしろくない。男にとっては相手が悲鳴を上げて嫌がることこそが愉悦だからだ。

 

「もっとヤリがいのある動物はいないのか」

 

 男は取り引きしている業者のリストを眺めた。次は牧場で飼われているような家畜ではなく、珍しい動物を入手してみようか。たとえば、ペット用の……。

 

 そのとき、男は天啓のようにひらめいた。

 

 そうだ、なぜ俺は今までこれを思いつかなかったのだろう。

 

 新たな欲望が沸き上がり、退屈していた男の血を熱くした。

 

 男はさっそく家政婦を呼びつけると、思いついたばかりの考えを話した。

 

「かしこまりました」

 

 難しい顔をしながらも、家政婦は承諾した。

 

 

 

 家政婦は男の期待通りの働きをした。

 

「旦那さま。例のものが届きました」

 

 彼女はまるで苦労などなかったかのような顔をして男に告げた。

 

「よし、そいつは今どこだ!?」

 

「玄関に運び込ませたところです。すぐに準備をいたしましょうか?」

 

「いや、まだだ。まずは慣れさせる」

 

 男は弾んだ足取りで玄関に向かった。

 

 その動物を手に入れるために、特別な許可を取り、自宅を改造もした。かかった金はほかの動物の比ではない。

 

 男が玄関に降りると、ポニーを入れるものよりはるかに頑丈そうな檻が置いてあった。その中にいる動物を見て、男は歓喜の声を上げた。

 

「ライオンだ!」

 

 男は裸の女に飛びつくような勢いで檻に駆け寄った。

 

 そこに閉じ込められている動物が、まるで自分と同種族の女であるかのように感じられたのだ。

 

 メスライオンは、重々しい鉄の首輪をつけられている。その首輪から鎖が伸びており、太い鉄格子につながれていた。

 

「おぉ……」

 

 男はライオンの美しさに震えた。

 

 高さ1メートル近くもある体を覆う金の毛皮。堂々とした佇まい。琥珀色の瞳には、どんな草食動物にも見られない威厳があった。気の強そうな女だと、男は思う。

 

 男がライオンに向かって無意識に手を伸ばしたときだった。

 

 檻の中でじっとしていたライオンが突如牙をむき、男にとびかかろうとした。

 

「ヒッ!」

 

 驚いた男は、後ろにひっくり返って尻餅をついた。

 

 ライオンは尖った牙で鉄格子に食らいつき、ギシギシと檻を揺らした。頑丈な鉄の檻が壊れそうなほどきしむ。

 

「クク……ハハハッ!」

 

 腹の底から笑いが漏れた。こんな動物は初めてだったのだ。今までに相手をしてきたのは飼いならされた家畜のみ。野生を強く宿した獣は、それとは違った格別の魅力を持っていた。

 

 この女が、いずれ俺の好きになる。男はその瞬間を夢想し、ニィっと口元を歪めた。

 

「だが今は、そのときではないな。お前、腹が減っているのか?」

 

「旦那さま、冷凍の肉を仕入れております」

 

 気を利かせた家政婦が答えるが、男は首を横に振った。

 

「冷凍だと? そんなものをこいつに食わせられるか。肉なら新鮮なのがいくらでもあるだろうが」

 

「旦那さま、それは……」

 

 家政婦はさっと顔色を変え、上擦った声で問うた。

 

「そうだな、まずはイレーナを与えるか」

 

 何でもないことのように男は言った。

 

 男はイレーナ親子を餌として用意することを命じると、ライオンの檻が乗せられた台車を押し、専用の飼育スペースへと移動を始めた。

 

「決めたぞ。お前の名前はアンジェラだ」

 

 牙をむくメスライオンに、男はそう命名した。

 

 

 

 ライオンのために改築されたスペースは、趣味の悪いラブホテルのような部屋だった。

 

 内装の壁紙は毒々しい赤色で、壁の棚には雰囲気を盛り上げるためのラブグッズや、鞭などが飾られている。

 

 そして、部屋の中央には一辺が3メートルほどになる大きな檻が設置されていた。

 

 移動の最中も、アンジェラは暴れていた。彼女は男が自分よりも弱い生き物であることを、本能的に察していたのだ。

 

「これは少し躾が必要だな」

 

 男は壁の棚からスプレーのようなものを選び取った。そして再びアンジェラに近寄り、彼女が飛び掛かろうとしたタイミングでスプレーを噴射した。

 

 ぎゃっと悲鳴をあげてアンジェラが飛びすさり、狭い檻に身体を打ちつける。

 

「唐辛子スプレーだ。人間より鼻のきくお前にはさぞかしつらかろうな」

 

 ライオンは前足で顔をこすりながらのたうち回っている。それを見た男は高く笑い声を上げた。

 

「わかったか。いかにお前が百獣の王といえども、ここでの王はこの俺だ!」

 

 男が苦しむライオンを眺めていると、部屋の扉がノックされた。

 

「旦那さま。イレーナとベティーナをお連れしました」

 

「入れ」

 

 家政婦が二頭を引き連れ、部屋に入ってくる。

 

 人間に逆らえばどうなるか身をもって知っている彼女たちは、大人しく手綱にひかれてきた。

 

 しかし、アンジェラを見た瞬間その態度が一変する。

 

 パニックを起こして逃げようとしたのだ。

 

 家政婦がスタンガンを使い、しまいには男も鞭をもって加勢した。そうしてようやく二頭をポールにつなぐことができた。

 

「やはり、肉食獣は恐ろしいか」

 

 二頭とも男から散々ひどい目にあわされている。それでも本能的により恐れるのは、見たこともないライオンの方なのだ。

 

 そうこうしている間に、アンジェラは苦しみから解放されたらしい。その両目はぎらぎらと輝き、しっかりとイレーナを見据えていた。

 

「食わせてやれ」

 

 男が命じると、家政婦は頷き、檻のギミックを操作した。

 

 ライオンが出てこられないように可動式の柵で囲い込みつつ、檻の中にイレーナを押し込む。生後半年の小さなポニーは、スタンガンを持った人間にあっさりと操られた。
 そして、家政婦がライオンとポニーを隔てる柵を取り払った。

 

 狩りは一瞬で終わった。

 

 腰が砕けるほど怯えきってしまったイレーナにアンジェラが飛びつき、その首に鋭い牙を立てた。体高はアンジェラの方が少し大きいくらいだが、力の差は歴然としている。イレーナは難なく倒され、びくびくと痙攣した。

 

 ベティーナの目にも、その光景は映っていた。彼女は血が出るほどに首輪を引っ張り、我が子を思って叫んだ。しかしその声は、イレーナの痙攣が静まるとともに弱々しいものになっていく。結局、彼女は自分の娘が食い殺されるのを、見ていることしかできなかった。

 

 やがてイレーナが完全に絶命すると、アンジェラはその軟らかい腹に食らいつき、内臓をむさぼった。

 

 生臭い血の匂いが漂い、肉を食いちぎる音が響く。

 

 男は、かつて交わった獣が喰われていく様を、にやにやと不気味な笑いを浮かべ、眺めていた。

 

 

 

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